日本語を母語とする私たちにとって、英語は「簡単なようで難しい」言語です。英語の単語をある程度覚えたのに話せない、リスニングはなんとなくできても自分の言いたいことが言えない。
こうした壁にぶつかる理由は、言語の構造そのものが根本的に異なるからです。
日本語と英語は“語順”がまったく違う
日本語は「膠着語(こうちゃくご)」と呼ばれる言語です。助詞(が、を、に、で 等)や助動詞を語に「くっつける」ことで文の意味や機能を表します。語順の自由度が高く、「私は昨日、友達と映画を見た」と「昨日、映画を友達と私は見た」でも意味は変わりません。
一方で英語は「語順が命」の言語です。
主語(S)+動詞(V)+目的語(O)+修飾語(M) のように、語の順番が文法と意味を決定します。
たとえば、
- She loves music.(彼女は音楽が好き)
- Music loves her.(音楽が彼女を好き?)
このように語順が変わるだけで意味はまったく異なってしまいます。
英文構造を「型」で身につけるのが最も効率的
この構造の違いを克服するには、英語を日本語のように“感覚”で覚えるのではなく、論理的な「構文パターン」として体に染み込ませる必要があります。
つまり、「文の型」を学ぶことが、膠着語話者にとって最短の英語習得法なのです。
例:
- I gave her a gift.(私は彼女にプレゼントをあげた)
→ 主語 + 動詞 + 間接目的語 + 直接目的語 という構文を理解しなければ正確に話せません。
このような頻出構文+頻出語彙の組み合わせを、反復トレーニングによって習得することで、「日本語的発想から脱却し、英語らしい文の組み立て方」が可能になります。
単語や会話よりも、まずは構造訓練を
多くの学習者が「単語をたくさん覚える」「とにかく会話に慣れる」といった方法を先に取りますが、それでは英語の“本質”に近づけません。
構文力があれば、知らない単語でも推測でき、文法的な正確さを保ちながら自在に表現できるようになります。
英語の「語順を組み立てる力」を育てること。
それが、膠着語である日本語を母語とする私たちにとって、もっとも効果的かつ長期的に成果が出る学習法です。
話せるようになるためには、話す前に「文を作る力」が必要です。
構文を軸にした学習こそ、非英語圏の日本人に最適なアプローチであり、AI時代の英語学習にも通じる本質的な力になります。
今こそ、「語順の型」から始める英語学習を。